個人所有の鉄道車両を列車にくっつけることができる

 アメリカで旅客運送を行っているアムトラックは、運行する長距離列車に個人所有の鉄道車両を連結し、目的地まで連れて行ってくれるサービスを行っています。

 貨車ならともかく、日本では個人所有の客車とは考えられないですが、全米には約100両の私有客車があるようです。お金のある人は個人もしくは友人達と私有客車に乗って鉄道の旅をします。

 企業や団体で使うこともあります。どういうときに使うのかと言えば、企業の重役会議。私有客車なら、機密会議を開くことができます。コロナがはやっていたときは、これなら完全にソーシャル・ディスタンスを保つことができるということで、私有客車で移動する事例があったようです。

 もっとも、私有客車で移動するには、お金がかかります。年間の登録料が497ドル、移動のたびに1両、1マイル当たり4.09ドルかかります。追加料金を払えば、洗車や下水の抜き取りサービスも受けることができます。当然ながら、車両の購入、保管、メンテナンスにはお金がかかります。値段が値段なので、お金持ちしか使えないでしょう。誰でもできるものではないのです。
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/d1a782faa48a26d767bb7468da99b896b1e82764)

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アメリカで航空機の座席の広さを見直しへ

 アメリカ連邦航空局は今、国民から機内の座席面積の最低基準についての意見を求めています。

 なぜ意見を求めているのでしょうか? 別に乗客の快適さや便利さのためではありません。最低基準を設置するのは安全のためで、どれくらい狭いと緊急のときの避難に悪影響を与えるのかということなのです。

 実は座席の狭さと避難については、過去にも調査を行っています。そのときの結論は、座席の狭さは緊急時の避難に悪影響を与えないということだったのですが、そのときの調査では、子供、高齢者、障害者はいませんでした。今回はそういう人がいた場合のことも考えないといけません。

 もし最低基準が設けられ、座席が広くなれば、安全性が高まり、快適な空の旅ができることでしょう。ただ座席が広くなると、その分定員が減り、運賃が上がることも考えられます。単純に座席が広くなればいい、というわけでもないようです。
(参考:FNNホームページ https://www.fnn.jp/articles/-/401996)

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仮設住宅は寝台車

 ロシアのウクライナ侵攻により、ウクライナの住民は国を出て避難していましたが、再びウクライナに戻ってきている人もいます。しかし住宅が破壊され、住むところがありません。

 そこでウクライナ国営鉄道会社などが代わりに用意したのが、寝台車。キーウ近郊のイルピン駅そばの空き地に設置されています。7両ありますが、1両は食堂車、1両はシャワー室で、残りの5両が寝台車です。寝台車は個室構造で、各個室には上下二段ベットが2つあります。かつてブルートレインであった「カルテット」みたいな構造で、1つの部屋で4人が寝泊まりできます。
(参考:産経新聞ホームページ https://www.sankei.com/article/20220621-WZAQ2QLMEFPHLL27HYXW66KD44/)

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ドイツ、期間限定だが1200円で全国乗り放題に

 6月から3か月間だけの期間限定の話ですが、ドイツ国内の電車やバスなどの公共交通機関が9ユーロ(約1200円)で1か月間乗り放題になります。各事業者が紙やネットで販売するチケットを買えば、誰でもドイツ国内全ての地下鉄、鉄道、バスなどを利用することができます。ICEなどの高速列車は対象外ですが、普通列車を乗り継いでいけば、遠くまで行くことができます。

 なぜ期間限定とは言え、月たったの1200円で乗り放題にするのかと言えば、エネルギー価格の高騰に対応するため。車を使っている人を鉄道など公共交通機関に移行させることにより、気候変動対策にもつながります。交通機関の減収分の穴埋めとして、ドイツ連邦政府は、25億ユーロ(約3370億円)を各州に拠出します。

 日本ではガソリンが高騰したため、ガソリンに補助金を出して、ガソリンの価格を抑えています。経済の原則に委ねてガソリンが上がるのなら、鉄道を使おうとする人がいるかも知れませんが、その動きを補助金というかたちで抑えています。車を余計に使うので、環境にも悪いです。ガソリンに補助金を使うぐらいなら鉄道やバスなどの公共交通機関にお金を出したほうが賢明です。公共交通機関の利用者が増えれば、鉄道会社等の収支は改善し、増えた利用者に対応するために増発されることにより便利になり、さらに利用者は増えます。いい方向に循環するのです。そして、熊本のバスの事例でも明らかなように、その費用は意外と安いです。
(参考:毎日jp https://mainichi.jp/articles/20220521/k00/00m/030/177000c)

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オーストリアで寝台車を増備

 オーストリア連邦鉄道が運行する夜行列車「ナイトジェット」は好調のようです。寝台車を増備していますが、今後も新規路線の開設が行われ、寝台車は不足する見込みです。また、現在使用しているクシェット(簡易寝台車)の中には、1960年代や1970年代に製造されたものがあり、老朽化が進んでいます。

 そこでオーストリア連邦鉄道は、バリアフリーに対応できないことから余っていた2等座席車を改造して、クシェットにすることにしました。22両を改造してつくる予定で、1両には7つのコンパートメントと1つの車椅子用コンパートメントができます。電子カードキーも採用され(クシェットと言いながら個室にもなるのでしょうか?)、Wi-Fi、コンセント、USBポートもあります。最高速度は時速200キロで、オーストリアのほか、ドイツとスイスでも走行することができます。改造されてできたクシェットは、2021年12月からすでに走っています。
(参考:「鉄道ジャーナル」2022年1月号 鉄道ジャーナル社

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サウジアラビアの女子大構内に鉄道

 世界最大の女子大は、サウジアラビアのプリンセス・ヌーラ大学と言われています。面積は1300万平方メートル(13平方キロメートル)、東京ドーム278個分の広さです。学生は6万人います。ちなみに国営大学なので、授業料はもちろん、住居も無料のようです。

 この巨大な大学構内の交通手段は鉄道。電気で動く鉄道は二酸化炭素の排出量が少なく、持続可能な交通手段だからです。日立が2011年に完成し、4つの高架路線があり、11.5キロの間に14駅があります。自動運転の電車は2両編成で110人が乗ることができ、最高速度60キロで走ります。

 大学構内の移動で自転車を使うというのはよく聞きますが、バスではなく鉄道を使うというのは驚きです。
(参考:乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/114669)

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カナダでも指さし確認

 日本の鉄道では、指で指して大きな声を出して確認する、指さし確認というものを行っています。外国でもやっているのでしょうか?

 実は、カナダのトロントの通勤鉄道、GOトランジットという鉄道会社が指さし確認を行っています。GOトランジットの関係者が2年ほど前の日本観光で訪れたときに見たことがきっかけのようです。GOトランジットでは、接客担当の係員が大きな身振りで指を指し、乗客の乗り降りが終わったことを確認してから扉を閉めます。

 なお、カナダは基本的に英語圏なので、日本語の「右よし、左よし」ではなく、英語で「クリアライト、クリアレフト」と言っているようです。
(参考:「鉄道ファン」2021年7月号 交友社)

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「ユーロスター」がコロナで経営危機

 ドーバー海峡をくぐって、イギリスとヨーロッパ大陸を結ぶ「ユーロスター」。新型コロナウイルスの感染が広がる前は、1日当たり片道約50本の列車が走っていました。ロンドンとパリの間は早朝から夕方まで毎時1本程度走っていました。

 しかし新型コロナウイルスの影響で他国との移動が厳しく制限され、「ユーロスター」の本数は激減しています。ロンドン-パリ間とロンドン-アムステルダム間を1往復ずつするだけで、乗車率もかつての80%から1%に激減しています。当然ながら運営会社のユーロスター社の経営は悪化。日本とは違って、鉄道会社に政府からの支援があるヨーロッパですが、ユーロスター社にはそのような支援がなく、破綻の危機に陥っています。なぜでしょうか?

 その理由はユーロスター社がどこの国の会社か、ということ。法的にはイギリスの会社ですが、資本面から言うと、フランスの会社なのです。もともとは、イギリス運輸省が出資するイギリスの鉄道会社も株を持っていましたが、2014年に売却され、イギリス政府やイギリスの鉄道会社は全く株を持たなくなったのです。ですから、イギリスはユーロスター社を支援しないのです。ところが株を持っているフランスの立場から言えば、法的にはイギリスの会社、ですからフランスもユーロスター社を支援しないのです。

 このままでは、資金繰りがつかないことから夏にも経営破綻すると言われています。どこが支援するのでしょうか、あるいは支援せずに破綻に向かうのでしょうか? 環境面からも鉄道がこの効果を発揮することができる区間だけに、破綻することだけは避けたいところです。
(参考:東洋経済ONLINE https://toyokeizai.net/articles/-/417127)

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日本の鉄道のバリアフリーは遅れているのか?

 「日本の鉄道のバリアフリーは遅れている」と言う人がいますが、本当にそうなのでしょうか? バリアフリーが進んでいると言われる北欧やヨーロッパの事例を見ていきましょう。

 北欧でも、車椅子の人がいきなり来ても、列車に乗ることができるわけではありません。各国の国鉄の場合、事前に予約が必要であり、しかも全ての駅で利用できるわけではありません。地方のローカル線の場合は主要駅のみです。もともとも日本のように鉄道が利用されているわけではないので、ひとりで移動できない人は車やタクシーで移動しているようです。北欧でも日本人が思っているようにバリアフリーが完備しているわけではありません。大きな駅でも障害者のサポートにすぐに人を出すことができるほど人が余っているわけではなく、地方の無人駅だと直接車で行ってもらったほうが合理的です。また、ヨーロッパの駅のホームの高さは駅によって違うようで、車体の床と合わないのです。低床車両も役に立たないのです。

 大都市の地下鉄にはほかの問題があります。古い地下鉄の場合、エレベータ等のバリアフリー設備を置くことができないのです。複雑にほかの路線などが入り組んでいて、バリアフリー設備を置くことができないのです。ロンドンの場合、地下鉄のバリアフリー化を諦め、バスをスロープ付き低床車両にすることで対応しています。都心部は渋滞して時間がかかりますが、バスの本数は多く、それで対応しているのです。

 もちろん、車椅子の人でも事前予約なしに来て、誰の手助けもなく移動できるようになれば良いでしょう。ただ、それには莫大なお金がかかります。そのお金は誰が出すのでしょうか? 国交省は利用者に負担をさせようとしていますが、それは国や地方自治体が負担すべき話でしょう。バリアフリー設備ができたからと言って、車などから利用者が移ってくるわけではありませんから。また、鉄道の得意とするところは新幹線などの高速輸送や大都市圏の大量輸送です。代替のバスさえあれば、ヨーロッパのように地方路線は特急だけにして、普通列車をバス対応にしても良いのです。世の中に輸送手段はいろいろあるのですから、鉄道会社に押しつけるのではなく、タクシーや車などトータルで対応することも考えないといけないでしょう。
(参考:東洋経済ONLINE https://toyokeizai.net/articles/-/424435)

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中国で貨物を運ぶ新幹線車両ができた

 中国でも新幹線は、旅客を運ぶもので、貨物は運びません(臨時的なものはありましたが)。ところがその中国の車両メーカーが、貨物用の新幹線車両を開発しました。

 その新幹線車両は4M4Tの8両編成で、これまでの新幹線と同じような見た目です。貨物列車らしい外観ではありません。ただドアの幅は2.9メートルもあり、そこから素早く積み下ろすことができるようになっています。貨物の積みかたも従来とは異なり、コンテナを連ねるのではなく、航空機のように専用のケースを車両の横から積み込みます。車両の85%を貨物に使うことができ、8両編成1本でジャンボジェットの貨物専用機1機分の貨物(100~120トン)を運ぶことができます。最高速度は時速350キロで、1500キロの距離を最短で5時間で結ぶことができます。しかも、貨物の単位重量当たりのエネルギー消費量は航空機の8%程度なので、環境に優しく、航空機やトラックに比べて転向などに影響されず、安定的に運ぶことができます。

 日本でも新幹線や特急列車の一部を間借りして貨物を運ぶ動きがありますが、単発の臨時的なものが中心で、恒常的なものは少ないです。ただ、旅客がそうであるように、貨物についてもスピードが求められるものもあります。大都市近郊やごく一部の幹線の特急を除いて、在来線の列車は車よりも遅くて使い勝手が悪いのですが、新幹線ならそのようなことはなく、特急料金というかたちでスピードの価値をお金で回収することができます。明治時代の老朽化したインフラに頼らずに、無理に維持しなくても済むようになります。貨物を新幹線に移せば、旅客はバスで足りる程度になる区間もあるのです。日本でも貨物を新幹線で運ぶことをもっと積極的に進めるべきでしょう。
(参考:朝日新聞ホームページ https://www.asahi.com/articles/ASNDX36T7NDSUHBI019.html、Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/83187ccb41d952f50497ddc91d08981b09d86e5c)

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