広島県、芸備線のバス転換を条件付きで容認か?

 JR西日本には、美祢線以外にも、利用者の少ないローカル線がたくさんあります。

 備中神代と広島を結ぶ芸備線もそのひとつ。このうち備中神代-備後庄原間68.5キロが見直しの対象となっています。バスどころか、ジャンボタクシーでも十分対応できそうな区間ですが、それでも地元は鉄道の維持を求めています。広島県も、JRは新幹線や大都市圏の鉄道で儲かっているので、それでローカル線を維持すべきだとしています。ただ問題なのは、誰がやっても経営できないぐらい需要が減り、分割民営化時点の前提が失われてしまったことです。国道どころか高速道路の整備まで進み、国鉄末期なら問答無用で廃止されるレベルです。山口線のように特急が通るのならネットワーク機能がありますが、そうでもない限りそんな機能はありません。

 広島県のホームページを見ても芸備線の廃止に反対しているだけにしか見えませんが、違う解釈をする人もいます。鉄道としては廃止してもJRが運営するのなら、バス転換を受け入れる余地があるというのです。美祢線でもそうですが、JRがそのまま運営する場合でも、鉄道ではなくバスにするだけで負担する額は減ります。その減った負担で利便性を向上させることができます。乗換駅の備後庄原付近で乗り換えをしやすくするために線路をバス専用道にすれば、BRTと名乗ることができます。ただのバスよりかは格上です。並行して中国道があるのですから、これを使えば高速便になります。鉄道に固執しないほうが実情に合った交通機関になるのです。

 実際には先に増便等の実証事業をやるのが先でしょうから、このようになるのはまだ先です。ただ、やるなら早いほうが良いでしょう。輸送密度の低さは今の交通サービスが受け入れられていないことを示す証拠なのですから。
(参考:タビリスホームページ https://tabiris.com/archives/geibisen202501/、広島県ホームページ https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/hiroshimalocalline/hiroshimaken-localtrain.html)

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JR西日本、美祢線にBRTを推奨

 昨日の話の続きです。

 今は代行バスが走っている美祢線ですが、いずれは結論を出さないといけません。鉄道を復旧させるのか、それともバスにするのでしょうか? それについてJR西日本は、鉄道を復旧させるのでなかったら、バスではなくBRTのほうが適当だ、という考えです。バスよりもBRTのほうがスピードと定時性の面で優れ(鉄道と同等と考えています)、BRTそのものが観光資源として使え、自動運転の実証実験の場としても使えるからです。ちなみにBRTは、国道316号を主な走行ルートとしますが、湯ノ峠-厚保間(4.2キロ)は線路をバス専用道とします。本数は鉄道時代の約1.5倍の29本です。

 さて、復旧までの期間と費用はどれくらいなのでしょうか? BRTは着工から3~4年で走らせることができ、費用は55億円です。国、自治体、JR西日本がそれぞれ1/3ずつ負担しますが、地方交付税の特別交付税が交付されると、実質的な自治体の負担は3.7億円になると見込まれています。バスは着工から1~2年で走らせることができ、費用は9.6億円です。国、自治体、JR西日本がそれぞれ1/3ずつ負担しますが、地方交付税の特別交付税が交付されると、実質的な自治体の負担は0.6億円になると見込まれています。BRT、バスともに復旧後の運行費は年間2.5億円で、これはJR西日本が負担します。

 鉄道についてはどうでしょうか? こちらについては以前からJR西日本単独での鉄道の復旧や運行は困難であると主張しています。もし鉄道を走らせるのなら、自治体が施設などの管理を行い、JR西日本は運行のみを行う上下分離が前提だとしています。復旧費用は58億円以上で、期間は河川改修工事を含めて10年以上かかります。
(参考:朝日新聞ホームページ https://digital.asahi.com/articles/AST233167T23TZNB002M.html、毎日新聞ホームページ https://mainichi.jp/articles/20250204/ddl/k35/040/284000c、読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20250204-OYTNT50011/)

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美祢線の沿線3市、快速の継続運行を要望

 2023年夏の豪雨で大きな被害を受けた美祢線では、代行バスを走らせています。2024年10月からは快速が走り、現在、1日に11便走っています。通過する停留所があるので、厚狭と長門市の間を、各停留所に停まる通常の便より16分速い、65分で結んでいます。

 実はこの快速、3月21日までの期間限定の運行となっています。快速は定時性と速達性に優れているので、地元の評判が良く、沿線の3市は快速の引き続きの運行を求めています。

 しかし、JR西日本としては快速の運行はいったん3月で終わりにするようです。便によって利用されているもの、されていないものがあるようで、その後の快速の運行は利用状況を元に改めて検討するとのことです。

 さて、その美祢線ですが、将来、どのようになるのでしょうか? そのことについては、明日、書くことにします。
(参考:読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20250124-OYTNT50072/)

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島原鉄道の存廃を検討

 諫早と島原とを結ぶ島原鉄道ですが、廃止の話が出ています。以前からそのような話はありましたが、2023年度までに上下分離のかたちで鉄道を残すか、バスに転換するかの二択に絞られています。

 上下分離で鉄道を維持する場合、そのままでは自治体の負担が増加します。そこで、並行するバス路線を廃止して負担増を緩和するという話が出ています。本数は少ないですが鉄道に並行して走っている島原鉄道のバスを全廃した場合、運転士は1日2~3人、費用は年間約7000万円削減することができます。これでほかのバス路線を充実させたり、鉄道の利用促進につながったりします。ただ、バスがなくなるわけですから、乗り継ぎをしやすくする必要があります。

 反対に、鉄道を廃止してバスにした場合、路線の効率化を図ったとしても、運転士は20人以上、車両は10両以上が不足します。運行管理者や車両整備士も増やす必要も出ます。
(参考:長崎新聞ホームページ https://nordot.app/1244835812331929797?c=648454265403114593)

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吾妻線、ノンストップバスなら7割以上が利用

 吾妻線長野原草津口-大前間は利用者が極めて少ないため、交通体系のありかたが協議されています。この区間に求められている公共交通とはどのようなものでしょうか?

 JR東日本高崎支社によれば、この区間の利用者の約8割が高校生。遠いところの高校に通っているのか(ただし、沿線の長野原町、嬬恋村にも高校があります)、通学に2時間以上かかる生徒も結構いるようです。

 そして、彼らが求めているのは、吾妻線の存続区間に並行して走るバス。長野原草津口と中之条、渋川とを結ぶノンストップバスです。もしこのバスが走っていたら、利用したいと考えているのが、生徒、家族ともに7割以上あるようです。

 廃止になる区間ならともかく、今後も存続する区間にそれも結構長距離(鉄道で渋川-長野原草津口間は42キロあります)のバスを走らせたら、そこの利用者も減り、今度は渋川-長野原草津口間の存廃が問題となるでしょう。利用者の多い駅と少ない駅がはっきりしているのなら快速で対応するのが適切だと思われます。バスを走らせるなら早朝に長野原草津口まで行くバスを走らせたほうが良さそうで(現行のダイヤでは、長野原草津口より西では高崎や前橋の高校の始業に間に合わないと思われます)、今回のノンストップバスはポイントがずれているような気もします。
(参考:朝日新聞ホームページ https://digital.asahi.com/articles/ASSDS41TTSDSUHNB001M.html)

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朽網に特急停車

 北九州空港の最寄り駅は日豊線の朽網。これまで空港の最寄り駅として活用されていなかったのですが、鉄道も空港アクセスのひとつとして活用することになりました。

 まず。ダイヤ改正から半月ほど経った4月1日から、特急を上下合わせて10本停めます。その後は利用実績により、停車する特急の本数を変えます。そして、同じ4月1日からは朽網からの足、バスも充実させます。朽網と北九州空港とを結ぶバスは、27往復から40往復に増えます。小倉と北九州空港とをノンズトップで結ぶバスは、17往復から21往復に増えます。反対に折尾や学研都市ひびきのへのバスは大幅に減ります(黒崎バスセンターまでの便は微減です)。これをカバーするため、折尾から約3キロ圏内なら500円で利用可能な、「折尾駅定額タクシー」を始めます。4月1日から始めます。

 アプリを使えば、お得な切符もあります。「北九州空港特急きっぷ」です。朽網までの乗車券、自由席特急券と、バスがセットになったものです。3月1日から発売を始めますが、利用は4月1日からです。値段は折尾が1000円、黒崎も1000円、博多が2400円、別府・大分が3500円です。6月30日まではキャンペーンも行われます。折尾が500円、黒崎も500円、別府・大分が2700円です。なお、別府・大分のキャンペーン価格は先着1000人のみ適用されます。
(参考:JR九州ホームーページ https://www.jrkyushu.co.jp/news/__icsFiles/afieldfile/2025/01/07/20241226_UPS_Japan_and_JRKyushu_utilize_Shinkansen_and_international_airline_networks.pdf)

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公共交通を使う栃木県民は2割もいない

 県庁所在地の宇都宮にLRTが開業して公共交通機関が便利になった栃木県ですが、実際どれぐらいの人が公共交通機関を使っているのでしょうか? 栃木県が毎年行っている世論調査で判明しました(公共交通に関する質問は初めて盛り込まれました)。

 日常生活の中で鉄道、バス、タクシーなどの公共交通機関をほとんど使わない、と回答した人は何と83.3%。逆にほぼ毎日使うのは3.3%、1週間に数回利用する人は2.5%、そして1か月に数回利用する人は9.9%なので、合わせてたったの15.5%です。

 それでは、なぜ公共交通機関を使わないのでしょうか? 公共交通機関を使う人にも使わない人にも聞いています。一番多かった回答は運行本数が少ないことで、そのほか、自宅や目的地から駅やバス停が遠いこと、乗り継ぎに時間がかかることが続いています。なお、運行本数が少ないことを挙げた人には地域差があり、宇都宮市が含まれる県央エリアは比較的少なかったです。県庁所在地なので、それなりに本数があるのでしょう。

 もっとも、公共交通を使う人に公共交通のサービスや運行状況の満足度を聞いたところ、満足していると回答した人が2/3ほどいましたので、公共交通に関する不満は、日ごろ使わない人の思い込みの要素もあるかもしれません。使ってみれば、それほど悪くはないのかもしれません。
(参考:読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/national/20241220-OYT1T50048/)

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尼崎市、バス会社に市営住宅を提供

 運転士不足に悩むバス会社はたくさんあります。運転士がいないがために減便になったり、廃止になったりするところもあります。

 そんな中、尼崎市は、阪神バス(かつて尼崎市は市営バスを運行していましたが、2016年に阪神バスが継承しました)が新規採用するバス運転士に、市営住宅の空き室を提供することにしました。提供するのは、建て替え対象になっているために新規の入居者募集を停止している市営住宅で、阪神バスに就職するために市外から転居して来る人に貸します。職場に近いところに住むことができ、家賃負担も軽減されます。月6500円で住むことができるのです。

 1月末ごろからこの制度を使った、運転士の入居が始まります。また、阪神バスに限らず、ほかの路線バス事業者についても希望があれば同様の取り組みを行う予定です。
(参考:尼崎市ホームページ https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/040/131/241219-04.pdf、読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/national/20241224-OYT1T50156/)

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京阪、大津線の正月用フリー切符、早目に買えば得だった

 京阪は年末年始のお出かけに使うことができる、「京阪電車年末年始フリーデジタル2dayチケット」、「京阪電車年末年始大津線フリーチケット・坂本ケーブルチケット」を「スルッとQRtto」で発売しています。

 「京阪電車年末年始フリーデジタル2dayチケット」は、12月30日から2025年1月5日までの間、京阪線と石清水八幡宮参道ケーブルを2日間連続で自由に乗り降りすることができるもので、1000枚の限定販売です。大人のみの発売で、値段は1500円です。

 今回取り上げたいのが、「京阪電車年末年始大津線フリーチケット・坂本ケーブルチケット」のほう。12月28日から2025年1月5日の間、大津線の1日乗り放題と江若鉄道(坂本比叡山口駅-ケーブル坂本駅)のバス、坂本ケーブル(ケーブル坂本駅-ケーブル延暦寺駅)がセットになっています。購入後、大津線の主要駅で紙のチケットに引き換えて使います。

 この「京阪電車年末年始大津線フリーチケット・坂本ケーブルチケット」ですが、実は購入時期によって値段が変わっていたのです。早く買えばお得でした。12月1日から7日の間に買えば、大人1600円、子供800円でした。12月8日から14日は、大人1900円、子供950円でした。12月15日から2025年1月5日の間は、大人2200円、子供1100円です。
(参考:京阪ホームページ https://www.keihan.co.jp/corporate/info/release/assets/20241122_nenmatsunenshi-free-ticket.pdf)

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求む、二刀流

 岡山電気軌道は、二刀流の人を求めています。

 ピッチャーもバッターもできる人ではありません。路面電車もバスも運転することができる人です。路面電車もバスも運転できるのなら、どちらかが人手不足のときに、足らないほうの乗務に就くことができるからです。2025年1月から10人を募集します。

 路面電車もバスも運転することができる人は、どうやって育てるのでしょうか? まず、入社したときはバスの運転士として研修を受けます。1年から1年半、バスの運転士として働きます。その後、今度は路面電車の運転士として試験や研修を受け、半年ほど路面電車を運転します。さらにその後は、概ね半年ごとにバスと路面電車を交互に運転します。腕が鈍らないようにするためでしょうか? 両方の免許を持っていることから、このような人には、通常の給与に加えて、毎月5万円を手当として上乗せします。
(参考:NHKホームページ https://www3.nhk.or.jp/lnews/okayama/20241205/4020022071.html)

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