公共交通を使う栃木県民は2割もいない

 県庁所在地の宇都宮にLRTが開業して公共交通機関が便利になった栃木県ですが、実際どれぐらいの人が公共交通機関を使っているのでしょうか? 栃木県が毎年行っている世論調査で判明しました(公共交通に関する質問は初めて盛り込まれました)。

 日常生活の中で鉄道、バス、タクシーなどの公共交通機関をほとんど使わない、と回答した人は何と83.3%。逆にほぼ毎日使うのは3.3%、1週間に数回利用する人は2.5%、そして1か月に数回利用する人は9.9%なので、合わせてたったの15.5%です。

 それでは、なぜ公共交通機関を使わないのでしょうか? 公共交通機関を使う人にも使わない人にも聞いています。一番多かった回答は運行本数が少ないことで、そのほか、自宅や目的地から駅やバス停が遠いこと、乗り継ぎに時間がかかることが続いています。なお、運行本数が少ないことを挙げた人には地域差があり、宇都宮市が含まれる県央エリアは比較的少なかったです。県庁所在地なので、それなりに本数があるのでしょう。

 もっとも、公共交通を使う人に公共交通のサービスや運行状況の満足度を聞いたところ、満足していると回答した人が2/3ほどいましたので、公共交通に関する不満は、日ごろ使わない人の思い込みの要素もあるかもしれません。使ってみれば、それほど悪くはないのかもしれません。
(参考:読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/national/20241220-OYT1T50048/)

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JR東日本がライドシェア

 公共交通機関で行くときの問題は、駅から先の交通機関。近ければ良いのですが、遠いと何らかの乗り物が必要になります。しかし、バスやタクシー、レンタカーがありそうな都市部ならともかく、地方ならそういうことも期待できません(もっとも、在来線も期待できない地方なら、新幹線の駅から一気にレンタカーで行ったほうがスムーズです)。

 そのようなバスなどがない地方でカバーする役割が期待されているのが、ライドシェア。公共交通が充実している大都市や、それなりのお金を取れば良い空港などとの長距離輸送とは違い、過疎地域ならライドシェアは適切な交通手段です。

 このライドシェアにJR東日本が参入します。自治体が運行を管理する、「公共ライドシェア」の枠組みを使い、タクシーの稼働台数が少ない、深夜、早朝(22時~翌7時)に運行します。自社の社員(ワンマン運転などで鉄道の効率化が進んでいるため、ライドシェアに人員を投入する余裕があるようです)やOBがドライバーとなり、車両はグループ会社のレンタカーを使います。2024年度中に南房総市や館山市で走らせる予定です。

 また、秋田県内では、JR東日本が運行しているオンデマンドバスの営業時間外にライドシェアを行う計画があるようです。そして、これらのライドシェアが好調なら、ほかの地域にも拡大するようです。
(参考:読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/economy/20241221-OYT1T50064/)

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タクシー代に100円追加すれば、環境配慮

 人間は生きている以上、何らかの環境への悪影響があります。それを抑えようとするには、悪影響を与える物質を除去しないといけません。当然お金がかかります。その費用を稼ぎ、かつその汚染物質の排出量を減らすための方法として、汚染物質を出す人に負担を課すというものがあります。

 そんな中、タクシー大手のエムケイは、脱炭素の取り組みを進めるため、貸し切りタクシーやハイヤーの利用料金に100円を追加すれば、温室効果ガスの排出量削減に貢献することができるという取り組みを12月から始めます。追加でもらったお金で二酸化炭素排出枠を買い、実質的な排出量をゼロにします。追加料金の対象となるのは、電気自動車。ガソリン車から電気自動車に切り替えると、走行時に出る二酸化炭素排出量が4割になります。しかし、電気自動車の動力源となる電気をつくるときにも二酸化炭素は発生します。ガソリン車を電気自動車を変えるだけでは温室効果ガスを実質ゼロにすることはできないのです。そこで出てきたのが、二酸化炭素排出量に見合う額を追加で払ってもらい、そのお金で排出枠を買うという方法なのです。
(参考:朝日新聞ホームページ https://digital.asahi.com/articles/ASSC23RSGSC2PLZB024M.html?iref=pc_ss_date_article)

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道の駅がイオンモールに

 亀山と天理を結ぶ自動車専用道路、名阪国道にはサービスエリアのほか、道の駅もあります。その中の一つに、針テラス(奈良市)があります。2001年に開業した道の駅で、飲食店や売店、入浴施設まであります。

 この針テラスですが、再整備されることになりました。実はこの針テラスを運営していた会社とトラブルになっていたので、新たなテナントが入らず、施設も老朽化していたのです。入浴施設以外の約5.7ヘクタールが対象で、公募の結果、イオンモールが優先交渉権者に選ばれました。これまでの豊富な開発実績が評価されたようで、ガバナンスやコンプライアンス体制が構築されているのが評価されたようです。単純に言えば、トラブルが起きにくいことが評価されたのでしょう。イオンモールとは、11月中に基本協定書を締結し、2030年4月の供用開始を目指します。南欧風の既存の建物は取り壊し、新たな施設を建てるようです。
(参考:読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/local/nara/news/20241019-OYTNT50022/、Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/38cf2368adbc5d0b4db7264d596ab27511b25d38)

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高速道路、時間帯によって料金を変える

 高速道路はいつ乗っても料金が変わらないのが原則。しかし、政府は渋滞緩和のため、高速道路の料金について、時間帯によって料金を変える「ロードプライシング」を本格的に導入する方針です。

 この「ロードプライシング」、全くの新しい話ではありません。2021年の東京オリンピック・パラリンピックの際、首都高速で行われましたし、現在もアクアラインにおいて、2024年度末までの社会実験として行われています。通常、ETCで800円のところ、休日の上り線では13~20時の間は1200円と高くし、20~24時は逆に600円と下げています。これにより、混雑が予想される時間帯からの移行を狙っています。これを拡大して、全国に展開しようとしているのです。

 まず、2025年度はアクアラインで料金の変動幅を広げます。そして、2026年度からは順次、路線を拡大させます。なお、この「ロードプライシング」の導入には料金所のETC専用化が前提になるようで、ETC専用化は2030年度ごろまでに実現させます。また、これによって通勤で高速道路を使う人が困らないよう、特定区間を多く利用する人の高速料金を最大半額にする「定期パス」の制度を全国に拡大します(現在は一部の道県で試験導入中です)。
(参考:読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/politics/20240505-OYT1T50114/)

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「上瀬谷ライン」の代替案は連節バス

 横浜市は米軍上瀬谷通信施設跡地で2027年に行われる、国際園芸博に合わせて、瀬谷との間に新交通システムを走らせることを考えていましたが、運営事業者に考えられていた横浜市の第三セクター、横浜シーサイドラインに断られ、新交通システムは幻になってしまいました。

 とは言っても、このあたりの人口は多く、公共交通が求められています。鉄道はおろか、バスすらないところもあります。今のままで良いわけではありません。

 そこで横浜市が考えているのが、連節バス。瀬谷から跡地までの約2キロの間はトンネルを掘り(元々は新交通システムが走るはずだったトンネルです)、そこに連節バスを走らせます。連節バスは自動運転で、最大3台の隊列を組んで走ります。一気に多くの人を運ぶことができるのです。このような連節バスを走らせることによって周辺の渋滞を抑えることができ、専用道路の距離が短い分、コストや建設期間を抑えることができます。総事業費は約466億円と見込んでいて、2030年代前半の運行開始を目指しています。

 また、バスの話からは離れますが、国際園芸博の会場付近に東名のインターチェンジをつくるという話もあります。国際園芸博の後に公園を整備しますが、災害時には全国の消防や自衛隊を受け入れる広域応援活動拠点になるようです。
(参考:朝日新聞ホームページ https://digital.asahi.com/articles/ASS297SG8S29ULOB01C.html)

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高速道路が有料に

 地方の高速道路の中には、無料のところもあります。NEXCOではなく、国交省が建設したためです。場所によっては並行している鉄道が貧弱なローカル線に留まっているところもあり、そういうところは公共交通に最後の一撃を与えています。

 ただ、そのような無料の高速道路は、高速道路としても不十分なところも多いです。対面通行のためスピードが出ず、反対車線から車が飛びだしてくる危険性もあります。4車線にならないと本格的な高速道路とは言えません。

 そんな中、西九州道の佐世保大塔-佐々間(約16.9キロ)が4車線化されます。2024年度に完了する予定です。長崎県がこの区間の4車線化を求めていたもので、その4車線化が完了すると、佐世保中央-佐々間は国交省からNEXCO西日本に移管され、有料区間となります。国交省が建設した無料の高速がNEXCOに移管され、有料となるのは初めてのことのようです。

 ただし、今回有料となるのは、武雄ジャンクション方面から利用するケースのみ。佐世保中央-佐々間のみを利用する場合は、NEXCO移管後も無料のままです。料金所の設備の都合もあるのでしょう。

 このように無料の高速が有料になるのは、ほかにもあります。京都の山陰近畿道(宮津と鳥取を結びます)でも、京都府が整備している無料区間を2025年度から有料化します。この収益で未開通区間の整備に充てるようです。
(参考:乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/130893)

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ライドシェアは過疎地のみの限定で良い

 ちゃんと二種免許を持っているタクシーではなく、そういうものを持っていないドライバーが客を乗せることができるようにする動きがあります。以前は「白タク」とされていましたが、今はライドシェアという立派な名前が付いています。

 このライドシェアに積極的なのが、大阪府と大阪市。2025年に大阪・関西万博が開かれますが、このときの輸送力不足を補うためにライドシェアを使おうとしているのです。タクシーは人手不足で、しかも運転士の高齢化が進んでいます。足らない分をライドシェアで補おうというのです。

 しかし、ライドシェアでは1台で数人しか運ぶことができません。あまりにも効率が悪いのです。たくさんの人を運びたいのなら鉄道やバスで対応したほうがはるかに効率的です。大阪の場合、基本的には公共交通機関が充実しているので、鉄道やバスに委ね、タクシーを使いたい人には適正な料金を取れば良いでしょう。短距離はともかく、長距離ならお金をいっぱいもらえば良いのです。特に外国人はお金をいっぱい持っていますから、怪しい「白タク」を取り締まって、ちゃんとしたタクシー会社がいっぱいもらえば良いのです。それで運転士の給与を稼げば良いのです(鉄道やバスの運転士の給与については、公的な補助で対応すれば良いでしょう。揮発油税などの方法で車の利用者に負担させても良いです)。

 ただこのことは、ライドシェアの導入を検討することが無駄だと言っているわけではありません。ライドシェアが適しているところもあります。それは、タクシーも来ないような過疎地帯。市役所や病院、ショッピングセンター、駅までの比較的短距離の交通にライドシェアを導入するのです。都会ではなく、過疎地限定にすれば良いのです。
(参考:朝日新聞11月5日朝刊中部14版)

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圏央道、次のパーキングエリアまで76キロ

 圏央道は東京の郊外をぐるっと回る高速道路。一部の区間を除いてすでに開通していて、東京の都心を通らなくても放射状に延びる高速道路に乗り継ぐことができます。

 この圏央道、全長は300キロ近くありますが、そんなにも長いのにサービスエリアは全くありません。パーキングエリアが5か所にあるだけです。ということはパーキングエリア同士の間隔もかなり広がっていて、菖蒲パーキングエリアと江戸崎パーキングエリアの間は約76キロも開いています。ちょうど中間付近に坂東パーキングエリアをつくる予定ですが、それでも40キロ近く開くことになります。トイレを気にしながら運転しないといけないです。

 先ほど、圏央道には未開通区間があると書きましたが、ここの整備が進むともうひとつパーキングエリア同士の間隔が開くところができます。千葉県内の大栄ジャンクション-松尾横芝インターチェンジ間が完成すると、江戸崎パーキングエリアと髙滝湖パーキングエリアの間、約89キロに全くパーキングエリアがないという事態が発生します。時速80キロで走っても(今のところこの区間は暫定2車線です)、1時間以上パーキングエリアがありません。

 この事態を少しでも緩和するため、パーキングエリアを2つつくる話があります。ひとつは、神崎パーキングエリア。内回りは2025年度、外回りは2025~2026年度に供用する予定です。大栄ジャンクション-松尾横芝インターチェンジ間の開通よりも先にできるようですが、神崎パーキングエリアは江戸崎パーキングエリアに近いところにあるため、神崎パーキングエリア-高滝湖パーキングエリア間は約76キロ開くことになります。もうひとつの計画は山武パーキングエリアです。ここは江戸崎パーキングエリアと高滝湖パーキングエリアのちょうど中間付近にありますが、供用の見込みは未定です。
(参考:乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/128759)

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将来の高速道路は車線が狭くなる?

 自動運転が普及すれば、高速道路も変わるようです。

 NEXCO東日本によれば、自動運転の車はちゃんと前を向いて走ります。人間が運転する今のように、道路に余裕を持たせる必要はありません。車線の幅は今より狭くて良いのです。

 そして、車線の幅が狭くなることによって、必要なスペースが少なくなります。交通量の多い区間では、車線を増やすこともできます。インターチェンジを増やすこともできます。ETC専用ではなく、自動運転専用のインターチェンジになるようです。

 歩行者などがいて複雑な一般の道路はともかく、高速道路に関しては、自動運転が普及することによって、まるでベルトコンベアのように何もしなくても勝手に目的地のインターチェンジまで運んでくれるようになるかもしれません。インターチェンジから出るときとサービスエリア・パーキングエリアに寄るときだけ、手動運転になるのです。
(参考:乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/127579)

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