「グリーンムーバー」、廃車へ

 広電の超低床車両、「グリーンムーバー」。5両編成で12編成がつくられ、広電の路面電車の看板的な存在でした。

 しかしこの「グリーンムーバー」、デビューが1999年なので、路面電車としてはそれほど古くはありません。広電では、被爆した車両がまだ走っているぐらいです。それなのに、3月に「グリーンムーバー」のうちの1編成が廃車になりました。

 なぜそんなに古くない車両が廃車になったのでしょうか? 理由は熊本と同じです。デビューした当時、国産でこのような超低床車両をつくることができなかったので、ドイツでつくられました。問題なく動いているうちはいいのですが、故障すると部品をドイツから調達しないといけません。それには手間がかかります。動かない間は車庫で寝ていることになりますが、広電には全長の長い車両がたくさんあります。そのような状況では、車庫は狭く、復旧の見込みがない車両を寝かし続けることは難しいです。そこで、故障で使われない「グリーンムーバー」を廃車にすることにしたのです。

 ただ、「グリーンムーバー」の後、続々と国産の超低床車両が出ています。広電でもたくさん活躍しています。その意味では、たとえ「グリーンムーバー」が短命に終わったとしても、きちんと役割は果たしたと言えるのではないでしょうか?
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/7c53ede9036289c72818ae684b887dac3d4d6ee3)

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江ノ電にクロスシートの新型車両700形

 江ノ電は2026年度から新型車両、700形を導入します。2006年の500形以来、20年ぶりの新型車両です。

 700形は、美しい海沿いの景色を楽しむことができるよう、前面のガラスが大きくなっています。前面ガラスは傾斜していて、今までの江ノ電にはない新しいデザインになっています。ただ、車体の色は緑とクリームの従来からの塗装を維持しています。

 座席や床の色も、鎌倉・江の島をイメージした3つのテーマカラーになっています。一つ目は、「江ノ電グリーン」。タンコロから歴代車両へと続く伝統的な色です。二つ目は、「江の島ブルー」。美しい海沿いの景色をイメージしています。そして最後三つ目は、「鎌倉ストーングレー」。古都鎌倉のゆとりや落ち着きを感じさせる色合いです。今回つくるのは1編成2両だけですが(総合車両製作所でつくります。設計費も含めて2両で約7億円します)、いずれは少なくとも3編成はつくるということでしょうか? そして、座席配置は3つとも、片側がロングシート、もう片側が1人掛けが向かい合わせになったクロスシートです。海を見ることができるように、海側がクロスシートになるのでしょうか? もっとも、この座席配置、立席のスペースが広がりますので、混雑時にはロングシートの現行車両よりも詰め込みが利くということになります。
(参考:江ノ島電鉄ホームページ https://www.enoden.co.jp/wp/wp-content/uploads/2025/04/d1de13e831041549a53a1709217dd35f.pdf、カナロコ https://www.kanaloco.jp/news/economy/article-1166859.html)

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ライトラインと東武宇都宮線、乗り入れ検討へ

 宇都宮のLRT、ライトラインは駅の東側と工業団地を結ぶだけで、駅の西側は走っていません。しかし、将来的には駅の西側にも延びます。2030年が目標です。

 ライトラインが駅の西側に延びると、東武宇都宮線の近くを通ります。そうなると出てくるのが、ライトラインとの連携。東武宇都宮線は支線なので、ライトラインと連携することによって利便性を増すことができると考えられています。

 どのようになるのでしょうか? 福田栃木県知事によれば、5つの案があるようです。(1)東武宇都宮線そのものをLRTにする (2)東武宇都宮線にライトラインが乗り入れる (3)ライトラインに東武宇都宮までまでの支線をつくり、東武宇都宮でライトラインと東武宇都宮線の乗り換えをする (4)東武宇都宮とライトラインの間を動く歩道でつなぐ (5)何もしない(東武宇都宮とライトラインの間は歩く) 数字が小さい方が実現困難性は高まります。ちなみに、軌間はライトラインも東武宇都宮線も狭軌ですが、電圧はライトラインが750ボルト、東武宇都宮線が1500ボルトと異なります。また、LRTは低床ですが、東武宇都宮線はプラットホームから乗り降りします。(1)や(2)のように直通させるためには、東武宇都宮線の改良工事が必要です。

 もちろん、直通すれば、東武宇都宮線沿線から宇都宮の中心部まで乗り換えなしで行くことができ、利便性が向上します。東武宇都宮線がLRTになれば、駅の設備を簡素化することができ、それで浮いたコストで増発を図ることもできます。ただ、それなりの初期投資は必要で、どれぐらいお金が要るか、また採算がとれるかという計算はされていません。それと延伸の時期が早いので、東武宇都宮線へ直通させることが決まったとしても、東武宇都宮線の改良工事は間に合いません。ライトラインの西側延伸と同時に東武宇都宮線に乗り入れるのは難しいようです。
(参考:朝日新聞ホームページ https://digital.asahi.com/articles/AST3T34QTT3TUUHB004M.html)

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2025年度は「箱館ハイカラ號」の定期運行を行わず

 函館市企業局交通部の「箱館ハイカラ號」は、1910年生まれの車両。元々は成田(成田と宗吾霊堂を結ぶ成宗電気軌道、太平洋戦争中に不要不急路線として廃止)で走っていましたが、1918年に函館にやって来ました。1937年からは除雪車に改造され、今の「箱館ハイカラ號」となったのは1993年のことです。

 この「箱館ハイカラ號」ですが、例年、4月中旬から10月にかけての休日に走ってきました。しかし、今年2025年度は休日の定期運行を取り止めることにしました。

 その理由は、部品の不足。あまりにも古い車両なので、「箱館ハイカラ號」に使用する一部の部品の入手に時間がかかっています。そのような事情から、10月までの運行シーズンの間に部品が不足する危険性があり、2025年度は定期運行を取り止め、貸切運行だけとすることにしました。

 なお、部品が不足すれば、貸切運行も取り止めます。
(参考:函館市ホームページ https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2014032300135/)

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広電の新駅ビル乗り入れは8月3日

 現在、広島駅から路線電車に乗ると、いったん中心部とは逆の東の方向に向かいます。時間のロスです。

 そういうこともあって広電は、駅前大橋線をつくり、広島駅と中心部との所要時間を短縮させることにしました。また、広島駅では駅ビルの2階に乗り入れ、雨に濡れることなく路面電車に乗ることができます。JRの改札口と路面電車乗り場との移動時間は約70秒です。

 その新駅ビル乗り入れですが、開業日が決まりました。8月3日です。以前にも記事にしたように、原爆の日よりも若干早くなっています。開業するのは広島駅-比治山下間の1.1キロで、途中、稲荷町、松川町の2停留所が設けられます(全くの新規の停留所は松川町のみ)。稲荷町からは八丁堀、紙屋町方面につながり、稲荷町-比治山下間は広島港に行く5号線のみが走ります。新線の開通により、広島駅-八丁堀・紙屋町方面の所要時間は約4分、広島駅-比治山下間の所要時間は約4.5分短縮されます。

 広島駅の乗り場は2つから4つに増えるので、乗り場も系統ごとに分けられます。Aホームは5号線比治山下経由広島港行き、Bホームは2号線広電宮島口行き、奥のほうにあるCホームは6号線江波行き、Dホームは1号線紙屋町経由広島港行きです。

 今回の開業により、廃止になる停留所があります。広島駅の隣の猿猴橋町です。的場町と段原一丁目は循環ルート整備のため、2026年春ごろまでいったん休止します。2026年春完成予定の循環ルートは、広電本社前-市役所前-紙屋町東-八丁堀-稲荷町-的場町-段原一丁目-比治山下-皆実町六丁目-広電本社前というルートで走ります。広島の中心部を一周するルートです。
(参考:広島電鉄ホームページ https://www.hiroden-hiroshima-st.jp)

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交通系ICカードの機器更新も補助の対象へ

 日ごろ、鉄道を利用するときに一番便利なカードは交通系ICカードでしょう。圧倒的な処理速度の速さで、東京など大都市圏の通勤通学ラッシュにも対応しています。

 しかし、交通系ICカードの難点は導入コストが高いこと。まだ新規導入のときは補助金があるのでいいのですが、問題は更新のとき。更新のときには補助金がなく、事業者自らお金を出さないといけないのです。これがネックになって、せっかく交通系ICカードを導入した事業者で交通系ICカードが使えなくなる事態が出ています。熊本市交通局や熊本の鉄道、バス会社がそれで、すでに市電を除いて交通系ICカードは使えません。

 ところが、国は方針を変え、2025年度から交通系ICカードの機器更新の場合でも補助金を出すことにしました。まだ熊本の場合、市電は交通系ICカードが使えますから、今のうちに市電だけでも交通系ICカードが使えるようにしたほうが良いでしょう。
(参考:熊本日日新聞ホームページ https://nordot.app/1270564851713213229?c=648454265403114593)

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広電での交通系ICカードの使いかた

 広電独自の乗車券システム、「MOBIRY DAYS」。広島に住んでいる人ならともかく、そうでない人は買う人は少ないでしょう。「ICOCA」等の交通系ICカードのほうが使いやすいです。

 そのため広電も、3月29日の「PASPY」サービス終了後も、「ICOCA」等の交通系ICカードが使えるようにしています。どうやって使うのでしょうか? 「ICOCA」の支払いに必要な端末は、簡易型のものを使います。路面電車の場合、乗車時は端末へのタッチは不要で、全ての扉から乗車できます。これに対して降車時は、乗務員がいる扉に端末があるので、そこにタッチしてから降ります。幸い、路面電車は均一料金ですので、タッチすると自動的に240円が引かれます(子供用の交通系ICカードなら120円)。もっとも、乗務員のいるところから降りないといけないので、これまでのような「信用降車」はできず、乗り継ぎをしたいときは、現金のときと同じように、乗務員から「電車乗換券」をもらわないといけません。自動では対応できないのです。また、これまで適用されていた市内線再乗車サービスは使えなくなります。交通系ICカードの場合、かなりサービス水準が低下します。

 バスの場合は、乗車時、端末にタッチせず、整理券を取ります。これに対して降車時は、整理券を運転士に呈示して、乗務員が乗車停留所を確認してから、金額の設定操作を行い、その後に端末にタッチするのです。路面電車と違い、均一運賃でないからです。電車、バス、どちらにしても手続きに時間がかかり、スムーズな乗降はしにくくなります。これまでよりも遅れが発生しそうです。
(参考:広島電鉄ホームページ https://www.hiroden.co.jp/topics/2025/pdf/0305-pressrelease/0305-pressrelease.pdf)

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熊本市電の延伸計画、相次ぐ運行トラブルで延期か?

 熊本市電には、健軍町からの延伸計画があります。健軍町-市民病院間の約1.6キロで、2031年度の全線開通を目指しています。

 しかし、この延伸計画、延期になるようです。その原因は、相次ぐ運行トラブル。2024年の1年間で、2件の脱線事故を含む16件のトラブルが発生しました。2025年になってからも、レールの幅が広がり、一部区間で運休していました。そこで、延伸計画そのものは変わらないものの、安全対策を優先して取り組む必要があるため、延伸の時期が遅くなるようです。

 市電の延伸はして欲しいですが、これほどまでトラブルが相次いでいるのなら、少々遅れるのはやむを得ないといったところでしょうか?
(参考:熊本日日新聞ホームページ https://kumanichi.com/articles/1669533、読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20250211-OYTNT50011/、毎日新聞ホームページ https://mainichi.jp/articles/20250221/k00/00m/040/173000c)

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熊本市交通局、超低床車両9700形を廃車

 1997年に導入された、日本初の超低床車両、9700形。2001年までの間に5編成が導入されました。しかし、そのうちの2編成について、廃車にしました。すでに7年前にモーターが壊れていましたので、約20年程度しか使われませんでした。

 熊本市交通局の路面電車は古いものが多いのに、なぜ貴重な超低床車両の9700形は廃車にしたのでしょうか? 実は今回廃車にした9700形、ドイツ製で、故障した部品の製造がすでに終わっていたので、対応することができなかったからです。どうしても海外の車両だとこういうことが起こってしまうので、いざというときのことを考えたら、ある程度のサンプル的なものはともかく(9700形もそれに該当しますが)、それ以外は国産のほうが望ましいと言えます。

 廃車にする2編成はすでに多くの部品が取り外され、一部はほかの車両に使われています。オークションで売却するものもあるようです。
(参考:TBS NEWS DIG https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1694496、railf.jp https://railf.jp/news/2025/01/29/001000.html)

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広電の駅ビル乗り入れは8月6日より前?

 広電の広島駅ビル乗り入れは、当初より遅れて、夏ごろになるようです。工事や試運転に時間がかかるためです。

 さて、夏は夏でもいつごろになるのでしょうか? どうやら、国の内外から多くの人が訪れ、アピール効果があることから、原爆の日の8月6日より前とするようです。広電が被爆後に初めて運行を再開した8月9日に、駅ビル乗り入れを開始するという案もありましたが、どうやら原爆の日の前に開業するようです。
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/3056605ed589599cbe72d2a99d352f0ce34e9788)

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