長崎電気軌道の新型路面電車、実は世界初

 長崎電気軌道が3月24日に運行を開始させた最新型の車両、6000形。ロングシートの単車です。

 これだけならどこにでもあるような路面電車ですが、全低床車です。出入口がノンステップなので、車椅子やベビーカーでもスムーズに乗り降りすることができます。実は、ロングシートの単車で、しかも全低床車となると、世界初の存在なのです。全低床車の場合、車輪の部分が客室に干渉します。そこでその部分をクロスシートにして、車輪の部分が目立たないようにしているのです。6000形の場合も、座っている人が足を置く部分は、床よりも一段高くなっています。色を黄色に塗って、一段高いことをアピールしています。

 ただこれは、乗車時か降車時のどちらかは運転士の目の前で運賃を払わないといけないという、日本ならではの事情もあります。「信用乗車」も広電ぐらいです。さすがに現金の人は危ないですが、ICカードを持っている人ぐらいは「信用乗車」の導入を考えても良いでしょう。それができると、全低床車にこだわる必要がなくなります。コストが安い部分低床車でも十分なのです。また、運賃を少々値上げしてでも一日乗車券を割安にして、車内で現金を払う人の割合を減らすのも良いでしょう。「信用乗車」が普及したら単車でなくてもいいですし、連節車なら同じ1人の運転士で一気に多くの人を運ぶことができます。

 バリアフリーに優れた全低床車が普及するのは良いことでしょうが、ただ考えさせられることもあったので、書いてみました。
(参考:長崎電気軌道ホームページ https://www.naga-den.com/pages/27/detail=1/b_id=688/r_id=52/)

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広島市中心部の路面電車とバス、220円に

 広島市の中心部には、路面電車のほかにバスも走っています。

 その広電や広島バスなど広島市内で路面電車やバスを運行している7社は、中心部のデルタ地帯の路面電車(白島線を除きます)やバスの運賃を220円にする方針です。基本的には値上げになりますが、バスの場合、デルタ地帯でも端のほうは値下げになるものもあります。新型コロナウイルスの影響で利用者が減り、収入も減ったので、それを補う目的があるようです。秋に運賃が220円になる予定です。

 ただ、面白い切符も考えられています。400円で6時間だけ乗り放題のフリー切符です。短い時間で何回か乗るのなら、使える切符です。以前書いたことに少し近づきます。

 さて、鉄道の上下分離はありますが、広島ではバスの上下分離というものを考えています。広島市とバス事業者が出資してつくる資産管理会社が車両や車庫、バス停などの保有と維持管理を行います。バス事業者はその資産管理会社から有料で車両などを借りて運行します。もっとも、バスの上下分離に関する国の補助制度がないため、国にその制度の創設を求めています。
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/8b54e42f2c2cfbf486f7dae1e56f5113b84bc4e9、https://news.yahoo.co.jp/articles/aebe2dc7d70d51ed1b84afd0a599f20cde90ae3c、NHKホームページ https://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20220425/4000017387.html)

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「PASPY」は2025年3月までに廃止

 広島の路面電車やバスに乗ることのできるICカード、「PASPY」。2008年にサービスを開始しました。ところが以前に記事にした通り、廃止されます。機器が老朽化したため更新が必要になってくるのですが、それには多額の費用がかかるので、「PASPY」そのものを廃止することにしたのです。

 さて、「PASPY」を使っている会社はどうするのでしょうか? 対応は2つに分かれます。広電は2024年10月(予定)に新しい乗車券システムを導入します。スマホに表示されたQRコードや専用の新たなICカードを使ったABT方式と言われるものです。ABT方式は利用者の情報を車載器ではなくクラウドサーバで管理します。現在のICカードシステムでは車載器で運賃計算やICカードへの情報の書き込みを行いますが、このABT方式では車載器は利用者の情報を読み取るだけで、それ以外の処理はクラウドサーバで行います。システムの費用が安くなるのがメリットで、ABT方式が商用化されるのは国内で初めてです。

 その広電が導入する新乗車券システムでは、どうやって乗車するのでしょうか? まず乗車前にスマホやパソコンで会員登録をする必要があります。会員登録をするときには、クレジットカードまたは銀行口座の登録が必要です。会員登録をすれば、スマホやパソコンからチャージや定期券の購入ができます。利用履歴を見ることもできます。路面電車やバスを利用するときは、乗車時及び降車時にスマホに表示させたQRコードを車載器にタッチします。スマホを持っていない人は、スマホの代わりに専用の新たなICカードをタッチします。新しい乗車券システムでは、定期券やいろいろな割引制度にも対応させます。時間帯や曜日によって運賃を変えることもできます。

 これに対してアストラムは、2024年度に「ICOCA」及び「ICOCA定期券」を導入します。広電の新しい乗車券システムは地元の人でないと使えず、出張や観光などでたまに広島を訪れる人には使いづらいです。これに対してアストラムは素直に「ICOCA」を導入するので、広島に住んでいる人でなくても使えます(沿線に用事のある人がどれくらいいるかはともかくとして)。ある意味、広電は大きいので、独自のシステムを開発することができるのでしょうか?
(参考:PASPYホームページ https://paspy.jp/news_20220304/、広島電鉄ホームページ https://www.hiroden.co.jp/topics/2022/0304-newticketingsystem.html、広島高速交通ホームページ astramline.co.jp/220304_icoca.donyu.pdf、日本経済新聞ホームページ https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC042P10U2A300C2000000/、乗りものニュース https://trafficnews.jp/post/116254)

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三宮-神戸間にLRT

 神戸にLRTを走らせるという構想があります。

 LRTが走るのは、三宮と神戸の間。三宮からいったん南に向かい、阪神高速にぶつかったところから阪神高速に沿って神戸に向かいます。

 なぜLRTをつくるのでしょうか? 神戸の中心、三宮の復興を図るためです。阪神大震災以降、神戸はパッとしません。かつての神戸を取り戻すため、長い間必要性を認識していながらできなかった神戸市中心部の再整備を行うのです。震災前から構想があった三宮の再整備をようやく行うことができるようになったのです。三宮を中心に北野の異人街から旧居留地、元町などに至る回遊ルートを整備して、「歩いて楽しめるまち」を目指します。

 「歩いて楽しめるまち」をつくるためには、今の車中心の道路からの転換を図らないといけません。今は幅の広い道路が目立っていますが、段階的に車道を減らし歩道を増やします。最終的には公共交通機関以外は車道を利用できないようにします。その一環としてLRTがあるのです。

 もっとも、LRTは線路を敷けば終わりではありません。整備する工場も必要になり、三宮-神戸間といった短い距離なら非効率になる危険性もあります。神戸にLRTをつくるのなら、海岸線を地下鉄ではなくLRTでつくったほうが良かったのかもしれません。
(参考:産経新聞ホームページ https://www.sankei.com/article/20220112-RVOFEYGJYROTDAMJLNTXRVPYDE/)

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岡山駅東口広場への路面電車乗り入れ、2025年度に

 岡山には路面電車が走っていますが、駅とは若干離れています。そこで路面電車を岡山駅東口広場に乗り入れる工事が行われています。2022年度に完成予定とされていましたが、2025年度に遅れるようです。

 なぜ3年も遅れるのでしょうか? 軌道敷設に伴う駅地下・岡山一番街北エリアの補強工事に時間がかかることが分かったのです。岡山市はエリアの全ての通路を封鎖して梁や柱の補強を行う予定でしたが、この方法が建築基準法に違反することが分かったのです。火災などに備えて通路を常に確保しておかないといけなかったのです。通路を確保するには工事区域を細かく分けて順番に行う必要があり、工期の大幅な延長を余儀なくされたのです。これに伴い、休業補償を払わないといけない店舗数は9からほぼ倍増することになりました。

 これにより、約43億円の事業費がほぼ倍増することになりました。岡山市は路面電車の岡山駅東口広場乗り入れに合わせて、タクシー乗り場や一般送迎の位置を変えるといった東口広場のリニューアルも計画していましたが、その規模を縮小し、事業費を66億円に抑えることにしました。
(参考:山陽新聞digital https://www.sanyonews.jp/article/1218161)

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広電の新しい路面電車は部分低床車?

 広電にはたくさんの低床車が走っています。しかしまだ低床車は足らず、古い車両が走り続けています。

 バリアフリーの実現のためにはまだまだ低床車の増備が求められます。現在、広電の全車両に占める低床車の比率は約34%ですが、広電としては10年後には50%以上に高めたいとしています。日中はほぼ低床車になるようです。しかしネックは値段が高いこと。2019年にデビューした最新型の低床車、「グリーンムーバーエイペックス」は当時、1編成3.8億円もしました。しかもその後も値段は上がり、2021年度導入分は4.4億円します。2005年に導入した「グリーンムーバーマックス」の3.2億円に比べて、大幅に高くなっています。値段が高いので、低床車の導入が進まないのも当然です。新型コロナウイルスの影響で利用者が減っている現状ではなおさらです。

 そこで広電は、コストを下げながらバリアフリーに対応した車両を増やすため、100%低床車にこだわることをやめることも考えているようです。100%低床車の場合、左右の車輪を結ぶ車軸がないため、特殊な構造となり、製造費や維持費が高くなります。ところが部分低床車なら、車軸に関しては通常の鉄道車両と同じため、コストを抑えることができます。車軸のないところは低床にし、バリアフリーを実現します。部分低床車なら新車でなくても、既存の車両を改造することもできます。これまでよりも速いペースでバリアフリーに対応した車両を増やすことができます。広電の場合、ICカードを持っていれば「信用降車」が可能なので、100%低床車でなくてもいいのです。

(追記)
 広電はICカードを持っている人に対する「信用降車」を30メートル級の連節車両に拡大します。3月12日から順次、対応工事が完了次第できるようになります。
(参考:Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/e4494b87fb91d109dd6e5bab0f943cfc5c149244、広島電鉄ホームページ https://www.hiroden.co.jp/topics/2022/0307-alldoor.html)

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鹿児島市交通局、12月31日で定期観光バス&観光電車廃止

 鹿児島市交通局は、これまで定期観光バスや観光電車を走らせてきました。

 ところが旅行ニーズが変化したため利用が低迷し、また新型コロナが収束した後で採算が合うほどの利用は望めないと考えられるため、この12月31日で廃止することにしました。

 なお、今後も鹿児島市内の主な観光地を周遊する「カゴシマシティビュー」、「サクラジマアイランドビュー」は引き続き運行するとのことです。
(参考:鹿児島市交通局ホームページ www.kotsu-city-kagoshima.jp/topics/41687/)

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南北がつながった、富山の路面電車に乗る(2)

 富山に行った目的は、2020年3月に南北がつながった、富山の路面電車に乗るため。富山には南北それぞれに路面電車があったが、途中にJR(現:あいの風とやま鉄道)があるため、分断されていた。しかし、あいの風とやま鉄道が高架化され、南北に分かれていた路面電車がつながることになったのだ。そのつながった部分の長さは100メートルほどだが、ここも乗らないと全ての鉄道に乗ったとは言えない。富山の路面電車の乗り場は、JRの真下。雨に濡れずに行くことができる。

 つながった部分に乗るには、岩瀬浜行きに乗ればよい。富山駅12:45発に乗る。旧富山ライトレールの車両だ。次の停留所の前の、かつて富山駅北があったところを通過すれば、目的は達成だ。後は相鉄が残るのみ。そのまま終点の岩瀬浜まで乗って、すぐに折り返す。帰りは富山駅のひとつ先、電鉄富山駅・エスタ前で降りる。南北の路面電車を乗り換えせずに直通できたのだ。

 富山から再びJRに乗って、名古屋に戻ることにする。乗ったのは富山14:05発の猪谷行き。キハ120の2両編成だが、高校生で混んでいて座れない。今日一番の混雑だ。ただ、乗っている時間は短く、速星や越中八尾などで降り、越中八尾でガラガラになる。鉄道が利用されるのは越中八尾までなのだろうが、それにしても日中2時間間隔なのは残念なところだ。一時は増発していたようだが、うまくいかなかったようだ。

 猪谷で美濃太田行きに乗り換え。猪谷15:08発、美濃太田19:08着とちょうど4時間乗る列車だが、キハ25の2両編成、ロングシート。富山方面から乗ってきた、10人ほどが乗る。飛騨古川で乗ってくるまでは動きはほとんどない。

 この猪谷15:08発の列車、高山で23分も停まるので(この間に車掌も乗り、ワンマン列車でなくなる)、いったん外に出る。発車時間近くに戻ると、高校生が乗っていたが、座れないほどではない。ロングシートなので、相席を気にせずに座ることができるのだ。さて、メインの客の高校生だが、意外と遠くまで乗っている。飛騨萩原である程度降りたと思ったら、飛騨萩原から乗ってくる高校生のほうが明らかに多かった。下呂で大半が降りたが(代わりに温泉帰りの観光客も乗ってきた)、中には国境の飛騨金山を過ぎても乗っている生徒もいた。

 美濃太田からは多治見経由。美濃太田19:13発の多治見行きはキハ75の2両編成、多治見19:50発の名古屋行きは211系の6両編成だった。

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南北がつながった、富山の路面電車に乗る(0)

 17日のことですが、「青春18きっぷ」を使って富山まで行ってきました。明日から何回かに分けて書きます。

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熊本市交通局、平日朝ラッシュ時に区間運転の試験運行

 熊本市交通局は11月1日から12月3日までの平日朝のラッシュ時に、区間運転の試験運行を行います。

 なぜそれを行うのかと言えば、一部区間において混雑率が高いため、乗りきれない人が出てくるという事象が発生しているようです。それをカバーするため、1か月ほどの間、神水交差点及び新水前寺駅前で折り返す便を設け、混雑の緩和を図ります。神水交差点始発は2本、新水前寺駅前始発は4本で、上熊本行きとなる新水前寺駅前始発2本を除いて、辛島町止まりです。また、新水前寺駅前については、JRから乗り換える人が多いことから、JRの到着時間に合わせたダイヤにすることにより、利便性の向上を図ります。

 ただ、熊本市交通局にはこれ以外にも課題があります。古い車両が多いので故障が頻発し、ダイヤ通りに運行できない危険性があるのです。熊本市交通局には51台の車両がありますが、このうち法定耐用年数(13年)以下の車両はたったの3台、半分近い23台は導入から60年以上が過ぎています。2020年度に老朽化による故障は80件あり、出庫できなかった総日数は947日、1日平均で2.6台が出庫できない状態にあります。今のところ5~6台の予備車で対応していますが、今後老朽化が進めば故障の割合が増え、運休しないといけないこともあり得ます。

 古い車両が多いので、バリアフリーにも対応していません。2020年に改正された移動等円滑化の促進に関する基本方針において、2025年度までに総車両数の7割をバリアフリー化する努力義務が定められています。しかし、現在45台(54両)ある車両のうち、バリアフリー化できているのは超低床車の8台(16両)のみで、3割ほどに留まっています。新たにバリアフリーに対応できる超低床の多両編成車両を導入する予定ですが、一気に大量にできるとは思えません。徐々に改善されるのを期待するしかないでしょう。
(参考:熊本市交通局ホームページ www.kotsu-kumamoto.jp/kihon/pub/detail.aspx?c_id=3&type=top&id=1224、www.kotsu-kumamoto.jp/kihon/pub/detail.aspx?c_id=3&id=1229&pg=1)

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