祝 21世紀 初詣の旅

 以前から「中尊寺に初詣に行き、そこから列車に乗って三陸で初日の出を見たい」と思っていた。確か私の記憶では、元旦には中尊寺最寄り駅の平泉を3時ぐらいに出て、花巻・釜石・宮古を経て(ちょうど三陸海岸で初日の出を見ることができる)盛岡に行く臨時列車が運転されていたはずだ。しかし、12月号の時刻表を買ったら、そんな臨時列車はなかった。平泉を3時すぎに出る列車(「ウエルカム2001年釜石号」)はあるが、それは釜石止まりである。釜石駅に6時前に着いても、そのあとどうすればいいのかわからない。そこで、JRのホームページを見たところ、「釜石クルージングプラン」という便利な企画があった。釜石から観光船に乗って、海上から初日の出を見るというプランである。一ノ関駅に電話で問い合わせて、ようやくそのプランに参加することができた。一ノ関の「びゅうプラザ」の係員に感謝したい。

 前書きはこれぐらいにして、当日の様子を書こう。平泉駅に23時過ぎに着き、中尊寺に行く。中尊寺は駅から歩いて25分ほど、バス停の辺りからは急な坂を登る。麓のほうを見ると車の列、実際に乗っている人は大変だが車の照らすライトがまるで光の列のようになっている。参道を歩いていると、途中で全く動かなくなった。初詣の参拝者がたくさん並んでいるからだ。お寺なのに除夜の鐘は聞こえず、携帯電話がつながりにくくなったことで21世紀の到来を感じてしまった。実際に中尊寺に参拝できたのは1時前、本坊と金色堂だけをまわって再び駅に戻った。美しい庭で有名な毛越寺<もうつうじ>とあわせてまた訪れたいところである。平泉からは臨時列車で一ノ関に戻り、「ウエルカム2001年釜石号」の出発を待つ。「ウエルカム2001年釜石号」は「エーデルワイス」というジョイフルトレイン、普通は団体でしか乗ることのできない特別な車両で仮眠をとる。

 釜石からはバスに乗り、港に行く。港にはクルージングに使われる観光船、「はまゆり」が待っていた。陸中海岸初の双胴型高速船で、中の設備も充実している。この船にはなんと釜石の市長も乗り込み、地酒の鏡開きとともに船は出発した。海が荒れているため、船の揺れは激しい。しかも、デッキに立っていると風が当たり、非常に冷たい。天気もよくなく、晴れていたら見えるはずの海からの御来光も雲がかかっていて見えなかった。このページの下にある初日の出の写真は、日の出の時刻から1時間ほど経った7:50ごろに撮ったものである。このクルージングの途中、尾崎半島にある尾崎神社に立ち寄る。ヤマトタケルノミコトのつくった由緒正しい神社らしい。

 帰りの列車は、ジョイフルトレインでも行きとは違う車両で、「Kenji」という。これも普通は乗ることのできない車両だ。肝心の初日の出は悪天候のため見ることはできなかったが、日ごろ乗ることのできない列車に乗り、初詣の旅を楽しむことができたので良しとしよう。今年もいろいろなところに行きたいと思う。(終わり)

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↑釜石湾の観光船、はまゆり

21世紀の初日の出(釜石湾にて)↓

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