関門海峡 冬の旅(1)

 岐阜から乗った寝台特急は事故の影響のため、15分遅れて小郡に到着。何とか山口線の列車には間に合った。予定通りに旅行が出来る。

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 山口は、14世紀の後半に周防・長門・石見の守護である大内弘世が京都を模してつくった町。その後、公家たちが戦乱を逃れるために山口にやってきたので、「西の京」と呼ばれるほどに山口は栄えた。16世紀の半ば、大内義隆の時代が最盛期である。

 雪舟がつくった庭園である「雪舟庭」、完成に30年以上の歳月を要した「瑠璃光寺五重塔」、91年に原因不明の火災で焼失した後98年に再建されたばかりの「山口サビエル記念聖堂」は当時の山口の繁栄を今に伝えるものである。


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 山口の中心部から車で10分のところに湯田温泉がある。湯田温泉は800年ほど前に白狐が温泉で傷をいやしていたことから発見されたと伝えられている。旧国道沿いには多くの旅館が建ち並んでいる。いわゆる共同浴場の類はないが、旅館の温泉に入ることは出来る。幕末の志士もこの温泉の湯につかったことだろう。

 詩人、中原中也は湯田温泉で生まれ育った。彼は湯田温泉の医者の長男として産まれ、子供の時は「神童」だったようだ。昭和の初期に雑誌などに詩を発表し活躍するが、山口へ帰る直前に病気でこの世を去る。わずか30歳であった。生家の跡地には中原中也記念館が建っている。