みちのく さいはての旅(1)
1日5本しか列車が来ない津軽線の終点、三厩駅から1日4本しかないバス(青森市から遠く離れているのに、なぜか青森市交通部が運営している)に乗って30分、ようやく津軽半島の最北端、龍飛岬にたどり着く。
全国至るところに国道が走っているが、龍飛には変わった国道がある。何とこの国道は階段になっていて、歩行者しか通ることができない。建設省の役人が図面だけを見て国道を指定してしまったためにこんなことが起きてしまったようだが、これもひとつの観光資源。「階段国道」と呼ばれ、多くの人に知られている。
龍飛岬の下には海底トンネルでは世界一長い青函トンネルが走っている。かつては本州側ではここ龍飛が建設の拠点となっていた。完成した現在では、地下140メートルのところに海底駅(竜飛海底駅、北海道側には吉岡海底駅がある)があり、いつもは見学施設として使われているが、非常時のための避難所としての役割もある。
青函トンネル記念館からトロッコのようなケーブルカーに乗って、竜飛海底駅近くの坑道を見学する。このケーブルカーは、龍飛岬に行くか、青函トンネルを走る快速「海峡」に乗るか(「海峡」を使うほうは1日2コースしかない)しなければ乗車することができない。そういうことから、乗車するのが難しい鉄道のひとつと言われている。
龍飛岬からの帰りは、夏のみ運行される弘南鉄道の臨時バス「太宰『津軽』号」(斜陽館-青函トンネル記念館)に乗った。龍飛岬の文学碑、小泊村の小説「津軽」の像記念館(ここでは約25分停車し、記念館の見学もできる)を経由してたったの1000円、非常にお値打ちである。
このバスの終点は金木町の斜陽館。1907年に太宰の父、津島源右衛門が建築家の堀江佐吉に依頼してつくった、総ヒバづくりの建物である。津島家がこの家を売った後、長らくの間旅館として使われていたが、1998年に太宰治記念館として再スタートすることになった。
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