みちのく さいはての旅(2)

 下北半島は、JRの定期観光バス(夏期のみ運転)でまわることにした。下北交通田名部駅のわきにある小さな営業所から私だけを乗せてバスは出発する(途中から人が乗ってきたが、それでも一番多いときで6人止まりであった)。

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 下北半島の西の玄関口に当たる脇野沢から高速船「夢の平成号」に乗って、仏ヶ浦を目指す。「五百羅漢」「一ツ仏」など、仏の名に因んだ名前を持つ岩が2キロにわたって続いている。視線を下に落として海を見ると、非常に澄んだ透明な水、まるで極楽みたいだ。途中、「火の山」「血の池」などという地獄を思わせるようなところを通ってきたから、余計にその感を強くする。


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 日本三大霊山の一つ、恐山。死者が集まるところとされ、死者の言葉を伝える「イタコ」(盲目だったり、あるいは幼いときに視力を失った女性が、修行によって特殊な能力を備えることによって「イタコ」になる)がいることで知られている。恐山は今から1100年以上前、天台宗の慈覚大師が地蔵堂を建立したのが始まりとされている。

 1時間弱の時間が与えられ、早速参拝に出かける。荒涼とした地にカラカラとまわる風車、それは幼くしてなくなった子どものためであろうか? そして、たくさんの地獄をまわった後で現れる青い湖(宇曾利湖)と緑の山、ここも地獄と極楽が隣り合わせの不思議な場所だ。

 恐山をまわったら、参拝者用の共同浴場で汗を流す。共同浴場は4か所あり、それぞれに違った効用があるようだ。


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 定期観光バスのルートには薬研温泉は入っていないので、定期観光バスに乗る前の日に薬研温泉に行った。下北交通のディーゼルカー(2001年3月に廃止)とバス(これもかなりの時代物)を乗り継いで、薬研温泉の露天風呂「かっぱの湯」に行く。「かっぱの湯」は小さな脱衣所が一つあるだけの混浴の露天風呂、近くの橋から丸見えである。もとは営林署(昔は「かっぱの湯」の隣に営林署があった)の人が使っていた施設のようだ。

 本来なら野趣あふれる露天風呂の写真を撮るべきだが、人がかなりいる(若い女性も入っていた)ので、写真は入り口の看板で我慢されたい。