桜めぐり99 身延

 今年も桜の美しい季節になった。「今年はどこの桜を見に行こうかなぁ」と思っていたが、友人に「身延山久遠寺のしだれ桜を見に行かないか」と誘われ、そこに行くことにした。

 名古屋6:20発の「ひかり」に乗り、静岡で東海道線に乗り換え、身延線の始発駅富士に到着。身延線ホームに行くと、すでに電車は停まっていて、発車30分前なのに、乗客もぽつぽついる。先ほどの友人もここで会うことができた。身延線の電車はたくさんの乗客を詰め込んで出発。普段はこんなにも乗客はいないだろう。

 身延駅に5分ほど遅れて到着。どっと人が吐き出され、改札口に向かう。1番線には甲府発の電車も停まっていて、ここで中央線経由で来た友人と出会う。結局、3人で行くことになった。駅舎を出たところで受付(その日は、身延山のしだれ桜を駅から歩いて見に行く、というJR東海のイベントがあった。私たちはそれに参加したことになる)を済ませ、さあ出発。綺麗に整備された町並みを歩く。

 車の渋滞の列を見ながら1時間ばかり歩くと久遠寺の総門に着く。ここからは門前町となり、坂道の両側にたくさんの土産物屋などが並んでいる。しばらく行くと、土産物屋も終わり、三門だ。

 ここで身延山久遠寺について簡単に触れておこう。身延山久遠寺は鎌倉時代に日蓮聖人が開いたところであり、日蓮宗の総本山である。境内にはしだれ桜が植えられていて、樹齢はおよそ400年という。

 三門からは非常に急な坂。ちょっと歩いてはすぐに立ち止まる、の繰り返し。やっとのことで久遠寺にたどりつく。境内で振る舞われていた甘酒でほっと一息つくと、目に見えるのは見事に満開のしだれ桜。ここまで歩いてきた疲れがどこかに行ってしまいそうだ。

 14時に身延駅に到着。駅にはすでに電車を待つ長い行列ができている。とりあえずそれに並んで、早めに身延線を脱出することにしよう。次に来た電車は特急「ふじかわ」。先頭車のデッキに立ち、前方の風景を楽しむことにする。電車は小さなカーブの多い、厳しい線路を走っていく。谷間を抜け、平地に入った富士宮駅で見たのは、5月に走り始める予定の新型の普通電車であった。鉄路のほうにも新しい春の息吹が感じられる。

 「来年はどこに行こうかなぁ」。そう思いながら、東海道線の下り電車に乗った。(終わり)

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↑身延山久遠寺の三門

見事なしだれ桜↓

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