長良川清流紀行

 「清流」でその名が知られている長良川。奥美濃のさらに奥から湧き出た一筋の水は、多くの水を集めて濃尾平野を通り、伊勢湾に注ぐ。夏の暑い日、長良川を遡るようなかたちで旅に出ることにした。旅は長良川と同じ名前のついた長良川鉄道の出発駅、美濃太田駅から始まる。

 ちょうどお盆の時期、たった1両のレールバスはかなり混んでいた。最初はこれで郡上八幡まで行く予定だったが、「トロッコ列車が運転される」と聞いて、トロッコ列車の始発駅である美濃市で降りる。トロッコ列車はゴールデンウィークと夏休みだけ運転される臨時列車である。最近のトロッコ列車は普通の電車のような快適な乗り心地のものもあるが、長良川列車のそれは貨車に屋根を張っただけの「昔ながら」のトロッコ列車、小さな機関車が1両のトロッコと4両の車掌車(雨が降ったときの避難用?)を従えて走る。長良川の流れに沿うように敷かれた線路の上を時速30キロでゆっくりと走る。線路に沿って国道も走っており、ドライバーが手を振ってくれる。5年ほど前にできた高速道路ははるか上を走っている。川も山もお構いなしだ。

 郡上八幡の駅と町は若干離れているので、バスに乗って街中に向かう。旅行に行ったときは、ちょうど国土交通省の実験で循環バスが運転されており、45分間隔で運転されていた。運賃は100円で使いやすい。もっとも、郡上八幡の町自体はコンパクトにできており、見所は歩いて行くことができる範囲にある。町の真ん中には長良川の支流、吉田川が流れ、子供たちが川遊びに興じている。旧役場庁舎に近い新橋では、川に飛び込もうとする子供もいた。

 郡上八幡の街中を歩いているうちに、夕方になった。そろそろ祭りの時間だ。郡上八幡の夏の夜を彩る、郡上おどり。特に旧盆の8月13日から16日の間は朝の4時までおどり続ける「徹夜おどり」が行われる。おどりの会場は毎晩変わり、今日は新栄町。祭りが始まる夜8時に行くと、なんと「今日はコンテストのため最初のうちはおどることができない」という。確かにゼッケンをつけた人が100人以上おどっている。このコンテストは30分ぐらいで終わり、あとは普通におどることができる。最初はおどりの輪の外から眺めているだけだったが、いつの間にかおどりの輪の中に入り、小雨の降る中、汗をかきながらおどり続けていた。(終わり)

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↑清流、吉田川(長良川の支流)

郡上おどり↓

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