南紀熊野路バスの旅(2)

 昨晩は新宮駅前のホテルに泊まり、近くの食堂で名物の「めはり寿司」を食べた。高菜の漬け物で御飯を包んだ、この地方の郷土料理で、もとは山で働く人のお弁当だったらしい。昔はソフトボールぐらいの大きさで、あまりの大きさに目を大きく開けて食べたことから、「めはり寿司」の名がつけられたという。

 今日は、名鉄・近鉄・南海の鉄道とバスが3日間乗り放題の「ワイド3・3・SUNフリーきっぷ」を使って南紀熊野路をバスで縦断。新宮と大和八木を結ぶバスは近鉄グループの奈良交通が運行しているので、このフリーきっぷで乗ることができる。

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 新宮6時。開いている店はない。かつては駅構内のうどん屋が大阪からの夜行列車の到着にあわせて開いていたが、それも閉まっている。夜行列車も廃止されてしまった。

 暗闇の中をバスは進む。1時間ほど乗り、外が明るくなってきたら川湯温泉。川湯温泉の名物は1000人が一度に入ることのできる「仙人風呂」。この「仙人風呂」は11月から2月まで営業している。河原のところどころから湧き出てくる湯を、川の水でちょうどいい温度に調整している。旅館に泊まっていた人がこの河原の温泉に入りに来ていた。


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 湯の峰温泉は、1800年以上前に発見されたという日本最古の温泉。川の両側に旅館や土産物屋が並んでいて、雰囲気がいい。

 湯の峰温泉には、歌舞伎で有名な小栗判官がよみがえらせたという「つぼ湯」がある。2人入るといっぱいになる小さな湯なので、「貸切制」になっている。友人同士や夫婦、カップルならちょうどいいだろう。


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 平安時代の昔から貴族などが参詣した熊野本宮。かつては熊野川の河原にあったが、1889年の大洪水で大きな被害を受け、流されずに残った一部の社のみを700メートル離れた高台に移した。

 もうすぐ正月。本宮の参道では、地元の中学生たちが清掃作業を行っていた。