豊橋路面電車サミット視察報告書

 かつて路面電車は全国各地を走っていたが、高度成長の時代にはクルマの邪魔者とされ、次々に線路がはがされていった。しかし近年は風向きが変わり、環境問題への対応(運輸部門の二酸化炭素の削減はなかなか進まない)や建設費の安さ(新交通システムより安い)から路面電車が見直され、熊本や広島のように低床車(電車の床をプラットホームの高さにまで下げることによって、乗り降りがスムーズになる)が投入されたところもある。そのような流れの中で、「第4回 路面電車サミット’99」が6月に豊橋で行われた。

 昨年2月、豊橋の路面電車は駅前のロータリーまで延長され、JRや名鉄との乗り換えが便利になった。駅の外に出て階段を下りるとすぐそこが路面電車の停留所、これなら雨に濡れずに行くことも可能である。停留所には職員が立っていて1日乗車券を売っている。今日は「市電沿線スタンプラリー」が行われる日だ。市役所、赤岩口車庫など6つのチェックポイントをまわり、景品をもらうのである。私も400円で1日乗車券を買って、早速目の前の運動公園行きに乗る。

 たくさんの乗客を乗せた路面電車は広々とした道路の真ん中を進む。しかし、進むにつれて道路は狭くなり、線路も複線から単線になる。井原で赤岩口に行く線路と分かれて右に曲がり、ちょっと走れば終点の運動公園。チェックポイントは運動公園内の野球場の前にあった。その後、赤岩口車庫、臨済寺(ここのチェックポイントは探しづらいところにあり、間違ってほかの神社に行ってしまった)とチェックポイントをまわり、三河名物の「菜めし田楽」で昼食にする。

 午後、最初に行ったのが市役所。ここには国内19地区と海外の路面電車のパネル展示、外国のLRT(LRTとは新しいタイプの路面電車のこと)に関するビデオ放映が行われている。前庭では人間が乗ることのできる、大型の路面電車の模型もあったが、この歳では恥ずかしいので乗るのはやめた。市役所の後、吉田城隅櫓、豊橋ハリストス教会をまわり、これでめでたく全ポイント訪問となった。後は豊橋駅まで戻って、景品(路面電車のペーパークラフト)をもらうのみである。

 この日のイベントには、鉄道にはあまり関心がないと思われる人も多く参加していた。また、テレビや新聞などのメディアでも「路面電車サミット」のことはよく取り上げられ、全国有数のクルマ社会である東海地方においても路面電車に関する関心は高まったように思われる。これをいい機会にして、路面電車をはじめとする都市公共交通を見直す動きがさらに活発になることを期待しながら、この報告書を終えたいと思う。(終わり)

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↑多くの人でにぎわう豊橋駅前停留所

お菓子でできた豊橋の街↓

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